チュオンさんと私(1) -ぼったくりから助けてもらった話-

公開日:  最終更新日:2015/01/05

昨日、最後にぼるとかぼられるとかいうことになったのはいつだったか思い出していて、チュオンさんのことを思い出しました。40代後半の彼女は私が本格的にハノイで暮らし始めた頃のアパートの大家さんの義理のお母さんであり、我が家を週に2回清掃してくれるハウスキーパーさんでもありました。

チュオンさんはとても気立てのいい人で、田舎から急にハノイに呼び出されて外国人相手の大家業と家政婦業をすることになったにも関わらずいつもにこやかで、ご近所で古株のアクの強いおばあちゃん方ともうまく付き合っているちょっと稀有な人です。

彼女のことを思い出したのは、私がぼられかけていたときに居合わせて助けて?くれたからです。ハノイの大通りから細い路地に入ると、車も通れないようなくねくね道が続いています。そういった路地に台車を押してくる物売りは路地裏生活の一部、廃品回収、コーヒー、掃除道具、修理屋、果物、おやつ(ドーナツ、ポンセン)なんでも来ます。

そのときはサンダル屋が来ていて、その少し前にトイレ用のサンダルを気分で捨ててしまっていたので、見せてもらいました。山盛りの台車の中に私好みの底板にポコポコ穴の空いた水はけ抜群のサンダルを発見!25,000ドンなら買いたい!おばちゃんに値段を聞くと35,000ドンとの返事。ちょっと高い。30,000ドンなら許そう。でも、おばちゃんは不敵な笑みを浮かべて断って来ます。普段ならここで、じゃあ、いらな〜いと言うところです。希望金額と折り合わないのなら、欲しそうにしないほうがいいんです。でも、すでに古いサンダルを捨ててしまっていたので欲しかったんです。週末にスーパー行くより、ここで1万ドン高く買っても私には特だ、隣でいつの間にか見ていたチュオンさんが、同じものを20,000ドンでこの前買ったよって言ってるけど、ここから15,000ドン引かせるのは無理だろう。というわけでおばちゃんの言い値で赤いサンダルを購入。ところが、カモを発見したと踏んだおばちゃんが今度は息子にサンダルを勧めてきます。息子はおばちゃんの勧める微妙な偽物ウルトラマンを拒否。おばちゃんはしつこく追いすがり、アパートエントランス前面の日本式シャッター(鉄製のスケスケ折り畳み戸、なぜか日本から来たもののような名前がつけられています)を閉めてもその隙間から無理矢理、子供サンダルを押し付けようとしています。恐怖!でもなかったので、スルーしてそのまま部屋に上がるつもりだったのですが、なぜかここでチュオンさんが激昂。怒りの余り?私がさっき買い取ったサンダルを奪い取って、シャッターの隙間からおばちゃんに投げつけるチュオンさん。負けじと投げ返してアパート内に放り込むおばちゃん。こんなに本気でものを投げ合う大人を見たことがありません。というか、そのサンダルは私の!返して〜。チュオンさんはここでなぜか20,000ドンの自分の黄色いサンダルを部屋から持ってきます。そして微妙なウルトラマンのサンダルをおばちゃんから奪い取る?その子供用はいらないよ?どうやら私の払った金額は多すぎるから子供用も置いていけ、チュオンさんのサンダルは20,000ドンだったのだから、赤いサンダルと黄色いサンダルを入れ替えれば2足で35,000ドンで文句ないだろうということらしいです。ベトナム語の怒鳴り合いは壮絶なので、見学するのも疲れてきました。と、ちょっと目を離した隙に二人とも気が済んだのかいなくなってしまいました。一気に加熱して、あっという間に治まるベトナム式の喧嘩後には、ウルトラマンサンダルとチュオンさんの黄色いサンダルが残されていました。。

結局、適正価格の買い物はできましたが、ウルトラマンサンダルは使われることはなかったので、お得ということもないでしょう。むしろ、なぜチュオンファミリーのトイレサンダルをうちで使うことになったのか若干疑問が残りました。赤いサンダルはもちろんチュオンさんが持ち帰って使っています。翌週、スーパーで同じサンダルを見かけましたが、43,000ドンくらいでした。一体なんのための、、いや、きっと物売りのおばさんにカモが住んでいるアパートと思われるのを防ぎたかったチュオンさん。怒鳴りながらサンダルを投げ合う姿は衝撃でしたが、きっとアパートに住む人みんなを守ってくれたのでしょう。貴重な経験をありがとう、チュオンさん。

応援ありがとうございます

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
PAGE TOP ↑