ベトナムでもできる!「人生がときめく片づけの魔法」

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ビジネス書を読むのが大好きな夫が小説ばかり読む私に「人生がときめく片づけの魔法」(近藤麻理恵著/サンマーク出版、2011)を勧めてきたのは今年の四月。向上意欲がそこそこしかない私は不機嫌になりました。つまり、「私の片づけになにか不満でも?」です。

夫は片づけができません。おもちゃや日用品が散らばっているのはインテリアの一種だと思っているのか、まったく目に入らないようです。そんな夫に片づけをどうこう言われる意味がわからない。その旨伝えたところ、夫「この本すごく売れているらしいんだけど、読んでもよくわからなかったから。いいと思うよ」。読んだけど実践していないどころか、読んでもわからなかった本を人に勧める夫がわかりません。よくわからなかったのに、いいと思うってなんだ。

とにかく気分を害したので、三か月ほど本棚に棚晒し(造語)にしていました。五月に著者のこんまりさんが米タイム紙「世界の100人」に選ばれても棚晒しでした。そんな読み頃を逸した本を改めて手にとることになったのは、もともと質素に暮らしていた我が家の子どもたちが大きくなり、教育費がかさみ、下の子どもも幼稚園に入れたい年頃になってきたにもかかわらず入れる見込みが全く立たない生活に息詰まる雰囲気が漂ってきたから。ベトナムでお金をかけずにこれを打開しようと思ったら、とことん家の中でなにかするしかありません(一歩でも外に出ると結局少額でもお金を使ってしまうから)。そう、片づけるのです。

ベトナムではあまり収納するということに気を配りません。日本の家の押し入れやクローゼットのような造り付け収納は新しいレジデンスにはありますが、普通の家は家具付きのことが多いものの造り付けの収納スペースというのは存在しません。セントラルヒーティングなどで空調をコントロールしていない限り収納にカビが生えること必至なので、当然のこととも言えます。そんな収納家具オンリーの家で衣類をしまうのはホテルのクローゼットより少し大きいだけの洋服かけメインのものが多く、引き出し箪笥は主流ではありません。UMAにクローゼットからぶら下げるタイプの収納棚が売られているところを見るとベトナム人ももう少し棚が必要だと感じるのか。。プラスチック製のキャビネットに子ども用の衣類をぽこぽこつっこんでいるのもよく見かけます。我が家の収納家具もクローゼットが各寝室にある以外は小さなサイドテーブルが一つと台所廻りの収納、それに机などについている引き出しが五つ分(うち三つは壊れて直らない)があるだけです。他には収納としてカウントできるスペースはありません(大家さんに洗面所上の給湯器が置かれているスペースにものをおいていいと言われていますが、はしごを借りないと上がれない上に、なにか機械に間違いがあると水浸しになる場所なのでそこはカウントしません)。

私は片づけが不得意というわけではなく、こんなに収納が少ない家にしてはなんとかやれていると思っていたので、本を読み始めてからも日本の住環境を前提に書かれているこの本が収納新興国なベトナムの収納事情でどこまで役にたつのか半信半疑でした。著者のこんまりさんは「収納方法では片づけは解決しません(p38)」といいます。しかし、ここまで収納の少ない家は想定外だろうと思いました。おすすめの収納グッズとして登場する靴の空き箱(p195)もここでは早々手に入りません。今家にあるモノを活用していけば、必ず毎回カチッと収納ができてしまう(p197)というのは、ある程度片づける下地のある日本だから、トップスが床に並べてみたら以外と160着もある(p94)ようなこともない代わりに、この家に見合うほどモノを捨てていたら、モノの適正量がわかる(p167)ようになるころには本当に困るくらいものがなくなっているのではないかと思いました。

半信半疑のまま、しかし「片づけは祭り」、「「祭りの片づけ」を早く終わらせてください」(p95)という言葉にはなぜか惹かれて、ある朝自分の洋服類を片っ端から床に並べたのは毎日暑い七月のこと。以来、二ヶ月で捨てたモノはごみ袋に10袋あまり、ベトナムに段ボール五箱で引っ越してきた我が家からするとなかなかの量です。ベトナムの収納量でこんなことをしても仕方がないという思いはなくなりました。必要なものだけがあるという状態は収納量のあるなしにかかわらずとても気分がいいのです。

私がこの本の片づけを実行できているのには三つのポイントがあります。
1.「祭り」だから、毎日しない。祭りの日に照準を合わせて片づけを楽しみにできる。
2.モノ別(p65)だから、その都度、完璧に終わらせられる。
3.片づけを始めたその日から「理想の暮らし」(p54)に近づいていることを感じられる。

家の中に溜まっている澱を外に出すような「祭りの片づけ」には爽快感があって、一度やれば次が楽しみになること請け合い、正に祭りです。また片づけはモノ別にすることになっているのですが、モノ別の分け方と順番が書かれているので、1つか2つのカテゴリーずつ作業をしていくと完全に一日潰してしまって晩御飯はどうしようと途方に暮れることも、片づけの途中で中断されてぐちゃぐちゃのままとりあえず元の収納場所に全部突っ込むという手戻りもありません。そして、片づけの目的は片づけることそのものではなく、自分の「理想の暮らし」を手に入れること。片づけの度に「理想の暮らし」に近づいている実感が持て、爽快感さらにアップ&長持ち。

「捨てる」にかける時間は最長半年(p53)という言葉もふと気が付くと二ヶ月あまり経っている私の片づけに自信を与えてくれます。こんまりさんの片づけは「捨てる」と「収納」に分かれていて、私は現在「捨てる」の2/3くらいの段階です。それでもすでに部屋に目に見えた変化があります。もともとこの本を勧めてきた夫(いまも特に実践はしていない)は「引っ越してきたばかりみたい」としきりに言っています。部屋に段ボールが積んであるわけではないので、新しい家のようだと言いたいのかもしれません。どうやら最上の褒め言葉として言っているようです。

こんまりさんが書いている内容にはちょっと不思議なところもありますが、片づけの効果は確かです。個別コンサルタントをしている方には主婦の方、子どものいる方もおられるようですが、この本は家族と同居でも別居でもシングルの人を主な対象として書かれていて、子どものおもちゃや持ち物についてどう片づけていくか書かれていないところは悩ましいですが、本を読んでできるところまでやってみます。

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