海外生活は大変か

公開日:  最終更新日:2015/03/11

海外で生活を始めようか検討されている方に聞かれる質問で、海外生活は大変ですか?というのがあります。ベトナムが1カ国目、それもたった四年間の若輩者で恐縮ですが、試みにお応えしてみましょう。ご参考になれば光栄の至りです。

数年前、ベトナム行きの話が私の前に急浮上する以前、南極の昭和基地に一年ほど行かないかというお誘いをいただいたことがあります。南極昭和基地!二十余年生きてきて、冗談でもそんな話が回ってくる日が来るとは思わなかったので、衝撃でした。もちろん行くことを考えたのですが、実際には南極での極限生活を通じてしたい仕事があまりなかったことと、ついでですが当時新婚でもあったのでナポレオン・ヒル氏ばりの即答をかましたい衝動をとりあえず抑えることができてよかったと思います。そのとき私が南極行きで振り回すことを懸念した夫に、半年後、ベトナム行きで振り回されることになるとは思いもしませんでした。ちなみに昭和基地には越冬組としてお友達が行きました。彼女によればペンギンというのは好奇心旺盛な動物らしく、半径数メートル以内に接近してはならないという国際的なきまりを守るためには人間がよちよち寄ってくるペンギンから逃げ回らないといけないとか。もし私にペンギンから逃げ惑いながら南極で越冬した経験があれば、地球上どこに行かれる方にもアドバイスできるかも知れませんが、残念ながらありませんので極限地域以外の現地の方が普通に住んでいるところに新たな生活の地を求めている方に対してお応えしたいと思います。

住み始めて一年半くらいまで、この海外生活に対する質問に対して私は、相当の悲哀をこめて大変だよ〜と答えていました。伝わらない言葉、慣れない食材、衛生面でドン引きする事態に出くわす度に身体中の生気が奪われる思いを味わい、一時帰国した日本からハノイに戻るのは身を引き裂かれる思いでした。私事ながら、当時は致し方なかったと思います。もしメイドさんがトイレの内側を洗っているブラシでトイレの床全体を洗っているのを見てしまったり、台所の流しの縁にごぼうの笹がきが落ちていると思って手でつまんだらそれはごぼうではなくゴキブリの羽だったり、ベッドの下が一面カビだらけなのにある日気づいたりしたら、一体どう思われるでしょう?私はこれまで開いたことのない頭の部分がパカーっと開く思いでした。

いま、頭がパカーしないで生活できるのは、おそらく慣れたから、の一言に尽きます。入社、入学、転入、新しい環境に飛び込むときは緊張するものです。入学は、その年齢になると自然にやってきますし、転入も自分で選択したものではないことが多いでしょう。海外生活は、自分で自分を新しい環境に放り込むことといえるかも知れません。

入学や入社ではその環境に慣れるまでのしばらくの間、疲れやすかったり、落ち着かなかったり、友達を作ってサークルを選んで仕事を覚えてと周辺環境を整えることに忙しかったりしたのではないでしょうか。海外生活の始まりもきっとそれに近いものです。日本での生活と同じようにできたり、できなかったりするなかで、どこを現地の方に合わせ、どこを自分のやり方で通すか、そうやって自分の生活を自分でデザインしていくのが海外生活。それが私に海外生活を大変に感じさせていた原因だろうと思いますし、いまでは当たり前にベトナムに暮らせている理由だろうと思います。

もしあなたが海外での仕事ではなく、海外での生活に不安を感じているなら、間違いなくできると応えたいです。ただ、これまでの生活を一新することだということは理解していてください。生理的に衛生的に心情的に受け入れられないことが出てきますし、なんでこんなところで生活しているんだろうという疑問もわくことがあるでしょう。でも、そこで生きている人はそうやってずっと生きてきたんですよね。いままで当たり前だったことが当たり前でなくなることで、知らない間に抱いていた常識や固定観念に気づいて頭をパカーっと開くチャンスなのです。相当に疲れること請け合いですが、同時に自分に課していた制限が外れるような爽快感もあります。きっと楽しいと思いますよ。

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